進学・就職・退職のお金事情
進学・就職・退職のお金事情
今回は、進学・就職・退職に関するお金の話を書いてみようと思います。
◆まずは教育費についてです。
文部科学省の「子供の学習費調査」によると、幼稚園から大学まですべて国公立に通い、かつ自宅通いの場合でも1,000万円以上のお金が掛かります。私立学校に通ったり、一人暮らしをする場合はさらにお金が掛かります。
このように多額となる教育費を補う制度として、奨学金や修学支援制度、教育ローン等があります。
奨学金で最もポピュラーなのが日本学生支援機構の奨学金です。奨学金は大きく分けて、返還の必要がないもの(給付型、免除型)と返還が必要なもの(貸与型)に分けられます。給付・免除型の奨学金は返還する必要がないので、採用条件も厳しいものがほとんどです。
給付・免除型の奨学金として代表的なものが「高等教育の修学支援新制度」です。これは授業料等を減免するとともに、給付型の奨学金を出すことによって実質無償で大学等に進学できるというものです。
主な条件は世帯年収で、住民税非課税世帯及びそれに準じる世帯の学生が支援対象です。対象となる学校は、国や地方自治体による要件確認を受けた教育機関が対象となります。減免額は対象となる学校の種類や設置者及び対象者の年収によって異なりますが、一定額を上限とした授業料及び入学金の額です。また、対象者には一定額の給付金も支給されます。
次に貸与型ですが、大きく分けて無利子型(第一種)と有利子型(第二種)に分けられ、有利子型(第二種)についても在学中は無利子で、利率も低く抑えられています。手続きについては、進学前に高校(または出身校)で申し込む「予約採用」と進学後に進学先で申し込む「在学採用」があり、予約採用の方が早く支給開始となります。なお、誰でも借りられるというわけでもなく、世帯年収が多い場合には利用できない場合もあります。
他に教育費の調達手段としては、まず「国の教育ローン」(日本政策金融公庫)があります。奨学金との大きな違いは、奨学金は月ごとの支給なのに対し、国の教育ローンは一度にまとまったお金を借りられるという点です。また、利息は他のローンと比べると比較的低いですが、第二種奨学金に比べると利率は高いです。
その他、学校独自の奨学金制度や地方自治体の奨学金制度、民間団体の奨学金制度もいろいろとありますので、どのような制度があるのか、どの制度を利用するのが最も得なのか、調べてみるといいですね。
◆続いて就職(転職)についてです。
入社時に会社から提出を求められるものとして、雇用保険被保険者証と年金手帳(基礎年金番号)があります。また、社会保険の手続きにマイナンバーが必要となるので、マイナンバーカード又はマイナンバー通知書が必要となります。また、前職がある場合には年末調整で前職分の源泉徴収票も必要となるので、前職を退職する際に受け取ったら大切に保管しておきましょう。
◆次は退職についてです。
まず、在職時は給料から天引きされていた住民税。退職後は退職する月や再就職するか否かによって方法が異なりますが、「転職先の給料から天引きする」「自分で納付する(普通徴収)「退職時に残りを一括して天引きする」のいずれかの方法となります。
また、住民税は前年の所得に基づいて計算されるので、退職後に収入が激減するような場合は、退職後に収入が少ないにも関わらず多額の住民税の支払いが必要となるので、気を付けましょう。
また、退職後すぐに再就職しない場合は社会保険の切り替えが必要です。厚生年金は、「国民年金に切り替える」「配偶者の扶養に入る」のいずれかとなります。健康保険は、「国民健康保険に切り替える」「家族の扶養に入る」「これまでの健康保険を任意継続する」のいずれかとなります。どの方法が最も得かは家族構成や年収によって異なります。
退職後に雇用保険の失業給付を受給する場合は、ハローワークで手続きをします。自己都合退職の場合は最短でも約3ヶ月かかるので早めに申請しましょう。
在職時に企業型確定拠出年金に加入していた場合は移換手続きが必要となります。まず、転職先に企業型確定拠出年金制度がある場合は転職先の企業型確定拠出年金に加入して運用を継続することが出来ます。
転職先に企業型確定拠出年金制度がない場合や、自営業者・公務員となる場合は、個人型確定拠出年金(iDeCo)に資産を移換し、「自分で掛金を拠出する」「運用だけを続ける(運用指図者)」のどちらかを選択することとなります。
また、転職先に確定拠出年金制度がなく、確定給付企業年金制度がある場合は、規約によっては確定給付企業年金へ移換可能な場合もあります。
なお、これらの移換手続きを行わないまま、退職後6ヶ月を経過してしまうと、自動的に国民年金基金連合会に移換されてしまうので、早めに手続きをしましょう。
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ファイナンシャル・プランナー 木元広之