定年前に知っておきたい「定年後の3つの疑問」

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定年前に知っておきたい「定年後の3つの疑問」


 


平均寿命の伸びや少子高齢化を背景に定年年齢の引き上げが議論され、「人生100年時代」と呼ばれるように


なってきました。


定年後の自分はどうなるのか、期待と疑問でいっぱいの方もたくさんいらっしゃることでしょう。


たくさんある疑問の中から、FP相談の中でよく聞かれる3つの質問に絞って解説します。


【その1】定年後は残り何年生きることになる?


→60歳定年の場合、


  男性は平均 24.21


  女性は 同   29.46


厚生労働省の「令和2年簡易生命表・年齢別」で平均余命を確認することができます。


60歳の男性は 24.21年、女性は 29.46


65歳の男性は 20.05年、女性は 24.91


ただし、あくまでも令和2年の統計による平均余命であり、今後伸びていく可能性も大いにあります。


 


【その2】定年後は月にいくら必要?


月間の平均支出額は 263,717円程度


 


総務省・2017年の家計調査によると、定年後の支出額の平均は高齢夫婦無職世帯の場合、263,717円です。


食費が 64,444円で 27.4%を占め、交通・通信が 26,972円で 11.7%、交際費が 23,767円で 10.6%となっています。


一方、実収入(夫婦2人の公的年金)の平均は、支出分より 54.519円少ない 209,198円。


この赤字分を老後のための貯蓄、もしくは働くことでカバーしなくてはいけないと考えられます。


ただし、これらの金額はあくまでも平均値であり、それぞれのご家庭によってまちまちです。


また、年齢を重ねると医療費の負担が大きくなることも想定されます。


 


【その3】住み替えるなら駅近マンション? 田舎の一戸建て?


たとえば、築年数が30年を超えた持ち家に住んでいるとしましょう。


お子さんが独立したことをきっかけに、「現在の住まいでは家が広すぎるから、もう少しコンパクトで駅近のマンションに住み替えたい」あるいは「都心から離れた田舎の一戸建で、趣味の家庭菜園を楽しみたい」。このような理由で、定年後の住み替えを検討される方々が増えています。


住み替えの選択肢を駅近のマンションまたは田舎の一戸建とした場合、主に次のようなメリット・デメリットがあります。後悔しないよう、理想だけでなく現実を見て判断したいものです。


【駅近のマンション】 


メリット   


交通の便がよく、病院や介護施設も近い可能性が高い


買い物に便利


 


デメリット


購入費用や家賃以外に、管理費などの別途費用も必要になる


電車・車・人の声などの音が気になる


             


【田舎の一戸建て】


メリット   


生活費が安く済む 


自然に囲まれて暮らせる


 


デメリット  


どこへ行くのも車が必要。病院など遠い可能性がある。


管理に手間がかかり、高齢になるほど負担になる


購入する場合、住宅ローンの申し込みに年齢制限があったり、賃貸の場合、高齢の単身者はそもそも受け付けてくれなかったりと、定年後ならではの【年齢の壁】に伴う注意点があります。50歳を過ぎたら、各々の条件なども含め真剣に検討しておきたいものです。


 また、統計でみると、定年後は収入よりも支出が多くなるという現実もあります。


早めに定年後のマネープランをシミュレーションして、これから来る新しい生活を楽しみに待てるよう、準備をしておきましょう。


 


ファイナンシャルプランナー 田代 美由紀